脂質：多民族から構成されるMillion Veteran Programの参加者約30万人に関する血中脂質の遺伝学

Million Veteran Program（MVP）は、米国軍務経験者の健康に遺伝的多様性がどのように影響を及ぼすかを究明するための全米研究戦略として2011年に発足した。本研究ではカスタムバイオバンクアレイを用いてMVP参加者31万2571人の遺伝子型を決定し、その遺伝学的データを電子診療録（追跡期間の中央値は10.0年）から抽出した生化学的ならびに臨床的表現型に関連付けた。血中脂質の検査値が少なくとも1つある29万7626人の軍務経験者（アフリカ系5万7332人およびヒスパニック系2万4743人を含む）について、約3200万のバリアントと脂質レベルとの関連を評価し、Global Lipids Genetics Consortiumのデータと合わせて（合計でn > 60万）メタアナリシスを行うことにより、ゲノム規模に有意な118の新規座位を同定した。遺伝子の機能を消失させると予測された変異の検討とフェノーム規模の関連解析の結果から、PCSK9、ANGPTL4、PDE3Bを標的とする阻害薬の新しい適応症の候補として、それぞれ腹部大動脈瘤、2型糖尿病、高トリグリセリド血症／冠動脈疾患を提案する。