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イネ:栽培イネおよび近縁野生イネの13のゲノムに基づくOryza属ゲノムの進化動態の解明

Nature Genetics 50, 2 doi: 10.1038/s41588-018-0040-0

Oryza属は、数千年から1500万年の時間スケールにわたる分子進化の研究のためのモデル系である。本研究では、Oryza属の種の系統樹から幅広く選んだ13の参照ゲノムを用いて、大規模な染色体再編成は多くはなかったが、トランスポゾン、新しいコード遺伝子や非コード遺伝子など多くの新規エレメントの系統特異的な出現とターンオーバーに反映されているように、種の多様化が急速に進行したことを示す。また、2つの栽培種を含む若いサブクレード「AA」において、各染色体への遺伝子移入の複雑な履歴を明らかにすることにより、Oryza属の系統関係に関するこれまでの論争を解決する。さらに、機能的に共役した病害抵抗性遺伝子が数多く存在することを明らかにし、作物保護に今後利用できる可能性がある多くの新規ハプロタイプを同定する。最後に本研究では、50年前のアジアで飢餓を救済し緑の革命を推進した「ミラクルライス」IR 8の完全なロングリードアセンブリを公開しており、これは現代のイネ研究における画期的な出来事と言える。

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