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結核:ベトナムにおける結核菌北京型株の頻繁な伝播とEsxWの北京型バリアントに対する正の選択
Nature Genetics 50, 6 doi: 10.1038/s41588-018-0117-9
ベトナム・ホーチミン市の結核患者から分離された結核菌(Mycobacterium tuberculosis;Mtb)の伝播動態を調べるために、1635分離株の全ゲノム塩基配列を決定し、別の地域で分離された3144分離株と比較した。その結果、地域内流行型のMtb 1型株による長期潜伏感染の活性化に関連した潜在的な疾病負荷が明らかになり、また、比較的最近になって広まった北京型株ならびに4型株のMtbが、1型株の3倍高い頻度で検出されることが分かった。さらに、Mtb北京型株がベトナムと他の国々との間を頻繁に行き来していることを見いだし、この宿主集団内では北京型株が地域内流行型の1型株よりも高い頻度で伝播していることを明らかにした。正の選択のシグナルとして、北京型株に関連するSNPの平行進化をその他の結核菌株でスクリーニングしたところ、ESX-5 VII型分泌のEsxWタンパク質に変異が同定された。この変異がベトナムやその他の地域の宿主集団におけるMtb北京型株の伝播の促進に寄与している可能性がある。