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前立腺がん:アンドロゲン受容体により調整を受けるlncRNAの網羅的な解析から、ARLNC1が前立腺がんの進展に果たす役割を明らかにした
Nature Genetics 50, 6 doi: 10.1038/s41588-018-0120-1
アンドロゲン受容体(AR)は正常な前立腺の発生だけでなく、前立腺がんの進展にも重要な役割を担っている。前立腺がんの細胞株や検体の網羅的なトランスクリプトーム解析を行い、ARLNC1(AR調節性長鎖ノンコーディングRNA1)が、前立腺がんの進展においてARシグナル伝達経路に関わる重要な長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)であることを明らかにした。ここでARLNC1は、ARタンパク質により発現誘導されるだけでなく、RNA–RNA結合を介してARの転写産物を安定化していることが分かった。また、ARLNC1をノックダウンしたところ、in vitroおよびin vivo条件下でのARの発現、全体的なARシグナル伝達経路、そして前立腺がんの増殖が抑えられた。まとめると、今回得られたデータは、前立腺がんの進展において、ARLNC1がARシグナル伝達経路を促進する正のフィードバックループの維持に寄与することを示しており、ARLNC1が新規の前立腺がん治療の標的であることを明らかにするものである。