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神経症傾向:44万9484人における神経症傾向についてのゲノムワイド関連研究のメタ解析から新しい遺伝的座位や経路が特定される

Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0151-7

神経症傾向は、うつ病、不安、統合失調症などの精神医学的形質に対する重要なリスク要因である。本解析を行った時点では、これまでにゲノムワイド関連研究(GWAS)により報告されている神経症傾向関連座位は、16個である。本解析では、神経症傾向についてのGWASの大規模なメタ解析(n = 449,484)を行い、ゲノムワイドな有意水準で、それぞれ独立した関連を示す136座位(解析時点で124座位が新規)を特定した。これらの関連には599の遺伝子が関与していた。機能的な追跡実験を行って解析すると、これらの遺伝子は、いくつかの脳領域で関連が強いこと、また、ドーパミン作動性神経芽細胞(P = 3.49 × 10−8)、中型有棘ニューロン(P = 4.23 × 10−8)、セロトニン作動性ニューロン(P = 1.37 × 10−7)をはじめとする特定の細胞タイプに関連があることが示された。遺伝子セット解析からは、ニューロン新生(P = 4.43 × 10−9)、コカインに対する行動応答(P = 1.84 × 10−7)、軸索部分(P = 5.26 × 10−8)の3つの特異的経路の関与が示された。神経症傾向の遺伝的シグナルの一部は、遺伝的に識別できる2つのサブクラスター(「うつ病傾向」と「不安」)から生じているので、各人のサブタイプにより原因となる機構が異なっていると考えられた。メンデルランダム化解析から、神経症傾向と多数の精神医学的形質の間に一方向性および双方向性の作用が存在することが示された。これらの結果は、神経症傾向の神経生物学的理解を深め、また、機能的な追試実験のための特異的な手掛かりとなることを示している。

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