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アルツハイマー病:アルツハイマー病診断後の遺伝学的メタ解析から明らかになった新たなリスク座位と、Aβ、タウ、免疫、脂質プロセシングの関連
Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-019-0358-2
遅発性アルツハイマー病(LOAD)は最も多い認知症であり、そのリスクの一部には遺伝的要因が関与している。我々はLOADのリスク座位を特定するために、LOADと臨床診断された9万4437人について、大規模なゲノムワイド関連メタ解析を行い、20か所の既知のLOADリスク座位と、5つの新たな座位(IQCK、ACE、ADAM10、ADAMTS1、WWOX)を、ゲノム規模の解析で見いだした。そのうちの2つ(ADAM10とACE)は、アルツハイマー病や認知症の家族歴を代理使用した最近のゲノムワイド関連解析(GWAS)でも特定されていた。また、ヒト白血球抗原(HLA)領域の詳細なマッピングにより、免疫を介した神経疾患ハプロタイプのHLA-DR15が、LOADのリスク因子であることを確認した。経路解析からは免疫、脂質代謝、タウ結合タンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)代謝の関与が示され、早発性の常染色体優性アルツハイマー病だけでなくLOADについても、APPとAβのプロセシングに影響する遺伝子バリアントの関与の存在が明らかになった。リスク遺伝子や経路の解析では、まれなバリアントの濃縮(P = 1.32 × 10−7)が示され、これにより、まだ見つかっていないまれなバリアントが他にも存在することが示唆された。我々はさらに、認知症の家族歴および教育歴などの形質とLOADの間にも、重要な遺伝学的相関があることを明らかにした。