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白血病:急性赤白血病のゲノムサブタイピングと治療標的化
Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0375-1
急性赤白血病(AEL)は、高リスク白血病であるが、その遺伝的基盤についてはほとんど理解されておらず、また、骨髄異形成や骨髄性白血病の領域における疾患の鑑別では議論になることが多い。本論文では、小児および成人のAEL症例159例のゲノムの特徴を、非AELの骨髄性疾患の症例と比較することで、異なる転写プロファイルを有し、年齢に関連する5つのサブグループを決定した。つまり、成人のTP53変異サブグループ、NPM1変異サブグループ、KMT2A変異/再構成サブグループ、成人のDDX41変異サブグループ、小児のNUP98再構成サブグループである。ゲノムの特徴は転帰に影響を及ぼし、NPM1の変異やHOXB9の過剰発現は予後良好に関連があり、TP53、FLT3あるいはRB1の変化は予後不良に関連があった。治療標的になり得るシグナル伝達経路の変異は、症例の45%に存在していて、これにはALKとNTRK1の反復性変異が含まれていた。NTRK1の変異は、TRK阻害に感受性を示す赤白血病誘発機構を誘導する。AELのこのようなゲノムの全体像から、この疾患の正確な診断とリスク層別化のための枠組みや、この高リスク白血病において標的療法を検討するための論理的根拠が示された。