Analysis
コムギ:現代のパンコムギの祖先をたどる
Nature Genetics 51, 5 doi: 10.1038/s41588-019-0393-z
1万年以上にわたり、人類に適した用途に合わせて植物や動物の形質の選択が行われることで、文明の発展が支えられてきた。その間、世界で最も重要な農作物の1つとしてパンコムギ(Triticum aestivum)が出現した。1万年にわたる交雑、選択、適応、育種が現代のパンコムギの遺伝学的構造をどのように形作ってきたかを探るために、本研究では、世界のあらゆる地域のコムギ種群から約500の遺伝子型を選択してエキソーム塩基配列決定を行った。遺伝子、染色体、サブゲノムのレベルでかなりの遺伝的多様性が認められ、その情報を用いて現代のコムギの起源、栽培地域拡大の経緯、および栽培品種化以降に選択された対立遺伝子バリアントの解明を試みた。我々のデータはコムギの網状進化モデルを支持しており、今後の育種改良に新たな道を開くものである。