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選択的スプライシング:RNAアイソフォームのスクリーニングで明らかになった、有害な超保存エキソンの不可欠性と腫瘍抑制活性

Nature Genetics 52, 1 doi: 10.1038/s41588-019-0555-z

選択的スプライシングを網羅的に定量化することがRNA-seqにより可能になったが、それに対応した、個々のアイソフォームの機能を調べるためのハイスループットアッセイは存在しない。今回我々は、CRISPR–Cas9を利用して、遺伝子を不活性化することなく、アイソフォームを操作するpgFARM(paired guide RNAs for alternative exon removal)という手法について報告する。この手法は、ポリクローナルな状況でエキソン認識の速やかな抑制を可能にし、個々のエキソンの機能的役割を同定できるものである。例えば、全がん的にイントロン保持を制御するSMNDC1カセットエキソンの役割を同定できたりする。我々は、この手法をプール化スクリーニングに汎用化して、「有害」なカセットエキソンの機能的な関連を測定した。これらの有害エキソンは、宿主遺伝子の読み枠を破壊するにもかかわらず、超保存配列であることが多い。有害エキソンの多くは、培養細胞や肺腺がん異種移植片の両方において増殖に必須であった。また、一部の有害エキソンには臨床的意義のある腫瘍抑制活性が見られた。このような有害エキソンの持つ必須性とがんへの関与は、それらが非常に高い保存性を持つことに関係しており、他の超保存配列が生存に必ずしも必須ではないことと対照的である。

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