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脳性麻痺:神経突起形成遺伝子を破壊する変異は脳性麻痺のリスクをもたらす

Nature Genetics 52, 10 doi: 10.1038/s41588-020-0695-1

一般的に関連する環境要因に加えて、ゲノム要因も脳性麻痺を引き起こす可能性がある。今回我々は、250組の親子トリオに対して全エキソーム塩基配列決定を行い、脳性麻痺症例では機能障害性のde novo変異が増加していることを見いだした。8つの遺伝子に複数の機能障害性de novo変異が見られ、そのうちの2つ(TUBA1ACTNNB1)がゲノムワイドの有意水準を満たしていた。我々は、単一遺伝子疾患的に作用する新たな病因遺伝子としてFBXO31RHOBの2つを特定し、RHOB変異は活性状態のRhoエフェクターの結合を増強し、FBXO31変異はサイクリンDレベルを低下させることを明らかにした。脳性麻痺リスクの候補遺伝子は、神経発生疾患遺伝子と重複していた。ネットワーク解析からは、Rho GTPアーゼ、細胞外マトリックス、フォーカルアドヒージョン、細胞骨格経路の濃縮が明らかになった。ショウジョウバエ(Drosophila)における逆遺伝学スクリーニングから、濃縮された経路において脳性麻痺リスク遺伝子は、神経運動機能を調節していることが示された。症例の14%が、機能障害性のde novoバリアントあるいは劣性(潜性)バリアントに起因すると推定された。これらの知見は、脳性麻痺での初期ニューロン接続には、遺伝子を介した調節異常が含まれることを示している。

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