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液–液相分離:歌舞伎症候群においてMLL4関連凝縮物がポリコームを介した核の機械的ストレスを相殺する
Nature Genetics 52, 12 doi: 10.1038/s41588-020-00724-8
遺伝子発現の調整に必要とされる遺伝的エレメントは、活性性と抑制性の核内凝縮物に分けられる。クロマチン区画には転写集合体が含まれ、それらの動的な樹立と機能は、転写因子、転写コファクター、基本転写装置の間に起こる多面的な相互作用に依存している。しかし、クロマチンという因子が転写凝縮物の集合にどのように関与するかは、十分には明確になっていない。我々は、歌舞伎症候群においてKMT2D(別名MLL4)ハプロ不全の影響を調べ、MLL4(mixed lineage leukemia 4)が液–液相分離を介して転写凝縮物の集合に関与することを見いだした。MLL4の機能喪失は、ポリコーム依存的なクロマチン区画化を障害し、核の構造を変化させた。メカノセンサーのATRを阻害して核の機械的ストレスを解放すると、間葉系幹細胞の機械的シグナル伝達と軟骨細胞への運命拘束がin vitroとin vivoの両方で再樹立された。本研究は、歌舞伎症候群では、MLL4のハプロ不全によってクロマチンの機能的分割の変化が引き起こされ、これが核の構造と機械的特性を決定するという考えを支持している。