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免疫:ヒストンmRNA前駆体のプロセシングの先天的な異常による、cGASを介したI型インターフェロンの誘導

Nature Genetics 52, 12 doi: 10.1038/s41588-020-00737-3

I型インターフェロン応答の不適切な刺激あるいは異常な負の調節は、自己炎症につながることがある。本論文では、I型インターフェロン関連疾患であるアイカルディ・ゴーシェ症候群の症例において、遺伝学的な特徴が明らかになっていないものを解析し、LSM11およびRNU7-1の両対立遺伝子性変異を特定したことを報告する。これらの遺伝子は、複製依存的にヒストンmRNA前駆体のプロセシングを行う複合体の構成要素をコードしている。変異は、カノニカルなヒストン転写産物のプロセシング異常とリンカーヒストンの化学量論のかく乱に関連していた。さらに、患者由来の繊維芽細胞において、核のサイクリックグアノシン一リン酸–アデノシン一リン酸シンターゼ(cGAS)の分布の変化と、cGAS–STING(stimulator of interferon gene)経路が仲介するインターフェロンシグナル伝達の増強が観察された。また、in vitroにおいて、リンカーヒストンのないクロマチンが、サイクリックグアノシン一リン酸–アデノシン一リン酸(cGAMP)の産生をより効率的に刺激することが確証された。我々は、核ヒストンがクロマチンの重要な構成要素であり、自己DNAの免疫原性の抑制に不可欠であると結論する。

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