Editorial
遺伝的差別に目を光らせる
Nature Genetics 52, 5 doi: 10.1038/s41588-020-0632-3
個別化医療が目指すのは個々の患者に合わせた治療を行うことであり、そのためには詳細な表現型情報や遺伝情報が必要となる。そのような情報を広範に収集することは精密医療の実現を促進するのに役立つが、大量に蓄積されつつあるゲノム塩基配列データには、遺伝的差別の根拠として使われる恐れのある個人情報も含まれている。遺伝学の研究コミュニティーはこうした危険性を認識した上で、特定の個人や集団がその遺伝情報を理由に不公平な扱いを受けることがないように監視し、そのような事例を軽減させるための計画の策定に協力することが重要だ。