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ゲノム編集:Cas9はp53経路を活性化し、p53不活性化変異を選択する

Nature Genetics 52, 7 doi: 10.1038/s41588-020-0623-4

CRISPR–Cas9を介したゲノム編集を可能にするために、一般的にはCas9が細胞株に導入されている。今回我々は、Cas9の発現そのものが引き起こし得る遺伝的影響および発現への影響について研究した。ヒトがん細胞株とそれらにCas9を発現させた誘導株165対について遺伝子発現プロファイリングを調べたところ、Cas9の導入によるp53経路の発現上昇が明らかになり、この変化は特に野生型TP53TP53-WT)細胞株で顕著に見られることが分かった。この結果は、メッセンジャーRNAとタンパク質レベルでも確かめられた。さらに我々は、Cas9発現細胞株ではDNA修復レベルの上昇が観察されることを見いだした。42対の細胞株の遺伝的特性解析から、Cas9の導入が、p53不活性化変異の出現と拡大の原因となり得ることが分かった。この結果は、同質遺伝系統のTP53-WTとTP53-ヌル(TP53−/−)細胞株の競合実験により確認された。最後に、TP53-WT細胞株ではCas9活性がTP53-変異型細胞株よりも低く、Cas9が誘導するp53経路の活性化は、遺伝学的処理および化学的処理の両方に対する細胞感受性に影響を及ぼした。これらの知見は、CRISPR–Cas9を介したゲノム編集の適切な使用に対して広範な示唆を含んでいる。

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