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がん治療:パラログノックアウトプロファイリングからMAPK経路誘発性のがんにおける二遺伝子依存性としてDUSP4DUSP6が特定された

Nature Genetics 53, 12 doi: 10.1038/s41588-021-00967-z

一遺伝子かく乱スクリーニングによって、新たな標的が多数明らかにされてきたが、高頻度に変異するドライバーに特異的な脆弱性については不明である。ここで重要な問題は、機能的に冗長な遺伝子間の補償的な関係性によって、一遺伝子かく乱研究において治療標的候補が隠されてしまうのかどうかである。我々は二遺伝子性の依存性を明らかにするために、CRISPRパラログ標的化ライブラリーを開発し、3284の遺伝子と5065対のパラログ、815のパラログファミリーを破壊して生存能力への影響を調べた。その結果、DUSP4DUSP6を二重に不活性化させると、MAPKシグナル伝達の過剰活性化を介して、NRASBRAF変異細胞の増殖が選択的に弱まることが明らかになった。さらに、MAPK経路治療に抵抗性の細胞は、DUSP4DUSP6のかく乱に対して交差感受性を持つようになり、MAPK経路阻害剤への抵抗性機構に基づき脆弱性の機構が強化される。まとめると、複数の遺伝子をかく乱する技術により、これまでに知られていなかった二遺伝子性の脆弱性が明らかになり、この脆弱性はがんにおける新たな治療標的として利用できる可能性がある。

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