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精神疾患:RNA結合タンパク質標的部位調節異常のゲノム規模の全体像から精神疾患リスクへの強い影響が示された
Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00761-3
精神疾患には強い遺伝的基盤があるにもかかわらず、その根底にある分子機構についてのマッピングはほとんど行われていない。RNA結合タンパク質(RBP)は、スプライシングから翻訳、局在化まで、ほとんどの転写後調節に関与する。このようにRBPは、特に脳で、細胞恒常性の主要なゲートキーパーとして機能している。しかし、RBP標的部位に影響を及ぼす非コード領域バリアントの病因への関与を定量化することは難しい。今回我々は、変異がもたらすRBP標的部位の調節異常効果を正確に予測できる深層学習手法を用いて、RBPの調節異常が精神疾患リスクの主要な要因の1つであることを見いだした。RBPの調節異常は、量的形質座位についての大規模な分子レベルの研究では捉えられなかった相当量の遺伝率を説明し、コード領域のありふれたバリアントよりも強い影響を及ぼしている。今回我々は、RBP調節異常のゲノム規模プロファイリングを公開する。我々は、このプロファイリングを用いて、統合失調リスク遺伝子候補としてDDHD2を特定した。この研究資源は、あらゆるRNA調節と複雑な疾患を結び付けるための新たな解析フレームワークとなるだろう。