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ノンコーディングRNA:DIS3によるノンコーディングRNAのプロセシングはB細胞において染色体構造と体細胞超変異を調節する
Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00772-0
ノンコーディングRNAの量は、細胞のRNAサーベイランス装置によって巧妙に定められており、それによって多様な生物学的過程の調節が成し遂げられている。RNAエキソソームは、哺乳類細胞における主要な3' RNAエキソリボヌクレアーゼであり、9つのコアサブユニットと2つの触媒サブユニットから構成されている。今回我々は、RNAエキソソームの触媒サブユニットDIS3を研究するために、条件付き対立遺伝子を持つマウスモデルを開発したことを報告する。DIS3欠損B細胞では、免疫グロブリン重鎖(Igh)座位のTAD(topologically associating domain)の完全性が影響を受け、CTCF結合配列に隣接する領域でのDNA結合RNAの蓄積、CTCF結合配列へのCTCF結合の減少、コヒーシン局在の混乱が起こった。またDIS3欠損B細胞には、活性化誘導シチジンデアミナーゼを介した非対称性ニックの蓄積、体細胞超変異のパターンの変化、マイクロホモロジー媒介末端結合DNA修復の増加も見られた。DIS3欠損B細胞における変異パターンの変化とIgh構造の異常により、クラススイッチ組換えは減少したが、染色体転座は増加した。Igh座位で観察されるDIS3を介した構造調節は、ゲノム規模で見られるので、ノンコーディングRNAのプロセシングがゲノム構成を制御するための重要な機構であるという証拠が得られた。