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免疫調節不全:SYKの機能獲得バリアントはヒトおよびマウスにおいて免疫調節不全と全身性炎症を引き起こす
Nature Genetics 53, 4 doi: 10.1038/s41588-021-00803-4
脾臓チロシンキナーゼ(SYK)は、重要な免疫シグナル伝達分子であり、治療標的である。今回我々は、免疫不全、多臓器性炎症性疾患(大腸炎、関節炎、皮膚炎など)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が見られる6人の患者において、有害な単一対立遺伝子性SYKバリアントを見つけた。このSYKバリアントはリン酸化を増加させて、下流のシグナル伝達を増強することから、機能獲得であることが示された。患者のバリアント(p.Ser550Tyr)のノックイン(SYK-Ser544Tyr)マウスモデルは、ヒト疾患の複数の面を再現していて、SYK阻害剤あるいは野生型マウス由来の骨髄の移植により、ある程度の治療効果が現れた。我々の研究は、SYKの機能獲得バリアントが治療可能であり得る炎症性疾患を引き起こすことを示している。