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レタス:アキノノゲシ属Lactucaの445アクセッションについての全ゲノム塩基配列再決定によりレタスの栽培化の歴史が明らかになる
Nature Genetics 53, 5 doi: 10.1038/s41588-021-00831-0
レタス(Lactuca sativa)は世界的に重要な食用園芸作物の1つである。栽培レタスは、同属の野生種トゲチシャ(L. serriola)が栽培化されたものと考えられているが、その起源や栽培化の歴史は明らかになっていない。本研究で我々は、主要な栽培レタス種とその野生近縁種を含むアキノノゲシ属Lactucaの計445アクセッションを塩基配列再決定し、レタスゲノムの包括的な多様性地図を作製した。アキノノゲシ属集団の遺伝的構造と植物集団の動態を詳細に分析したところ、レタスはコーカサス地方付近で最初に栽培化されたことが明らかとなり、種子脱粒性の喪失が栽培化を特徴付けていた。我々はまた、レタスゲノムにおけるその他いくつかの栽培化形質の遺伝的構造を明らかにし、複数の主要病害抵抗性関連遺伝子クラスターにおいて野生種からの遺伝子移入を検出した。本研究は作物育種に役立つゲノム情報資源を提供するとともに、レタスの栽培化の歴史の解明の一助となるだろう。