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双極性障害:4万人以上の双極性障害症例を対象としたゲノムワイド関連解析により、生物学的病態機序に関する新たな知見が得られる

Nature Genetics 53, 6 doi: 10.1038/s41588-021-00857-4

双極性障害は複雑な病因を持つ遺伝性の精神疾患である。本研究では、ヨーロッパ系の双極性障害症例4万1917人および対照37万1549人を対象としたゲノムワイド関連研究を実施し、64の関連ゲノム座位を特定した。双極性障害のリスク対立遺伝子が豊富に認められたのは、シナプスのシグナル伝達経路で働く遺伝子や、脳で発現する遺伝子で、特に前頭前皮質と海馬のニューロンに高い特異性で発現する遺伝子であった。抗精神病薬、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、麻酔薬の標的分子をコードする遺伝子にシグナルの有意な濃縮が認められた。また、発現量的形質座位のデータを統合して解析することにより、HTR6、MCHR1、DCLK3、FURINなどのドラッガブルな標的分子をコードする15の遺伝子が、遺伝子発現を介して双極性障害と強く関連していることが分かった。双極性障害のサブタイプ別に解析したところ、双極I型障害とII型障害の間には完全ではないが強い遺伝的相関があることが示され、追加の関連座位が特定された。これらの結果は、双極性障害の生物学的病因に関する理解を深め、新たな治療標的となるリード物質を明らかにするとともに、今後の機能研究の対象として優先すべき遺伝子を示している。

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