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黒色腫:NECTIN1の欠損はIGF1が局所的に枯渇した状態で黒色腫の播種を引き起こす

Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01191-z

がん遺伝学は、多数の腫瘍抑制因子や発がん経路を明らかにしてきたが、腫瘍の拡散に関わる機構を明らかにした遺伝的変化はほとんどない。今回我々は、ヒト黒色腫において3番目に頻度が高い、NECTIN1を不活性化する染色体欠失の役割について調べた。NECTIN1はアドヘレンスジャンクション(接着結合)遺伝子であり、その欠失は55%の症例で見られている。その結果、NECTIN1の欠損は、特にIGF1シグナル伝達の低下に応答して、in vitroでの黒色腫細胞の移動と、ゼブラフィッシュおよびヒトの両方の腫瘍でin vivoでの拡散を促進することが明らかになった。ヒト黒色腫の生検標本では、アドヘレンスジャンクションはIGF1レベルの低い領域でのみ見られ、NECTIN1欠損腫瘍内では見られなかった。我々の研究は、NECTIN1が黒色腫播種の主要な決定因子であることを確立し、微小環境シグナルに対する応答の遺伝的制御について明らかにするものである。

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