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免疫:変態中のショウジョウバエにおけるレトロトランスポゾン活性化は成体の抗ウイルス応答を調整する
Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01214-9
レトロトランスポゾンは可動性遺伝因子の一種であり、ほぼ全ての動物のゲノムに豊富に存在する。それらの無秩序な活性化は、不妊やがん、その他の病理と結び付いているため、このような活性化の多くは有害だと考えられている。しかし今回我々は、発生の特定の時間枠でのレトロトランスポゾンの活性化は、将来の抗ウイルス応答に対して宿主免疫系をライセンシングし得ることを報告する。我々は、mdg4(別名Gypsy)レトロトランスポゾンは、ショウジョウバエ(Drosophila)の蛹期の変態中に選択的に活性化されることを発見した。蛹期でのmdg4の活性化は、dSTING依存的様式でNF-κBタンパク質であるRelishの全身的な抗ウイルス機能を誘導することで、宿主の自然免疫系を教育する。そのため、蛹期にmdg4、RelishまたはdSTINGをサイレンシングしたハエ成虫は、外因性のウイルスを除去できず、ウイルス感染を防ぐことができない。まとめると、我々のデータは、可動性遺伝因子を発生過程で活性化することによって、宿主は病原体との戦いに長期的な利益をもたらす防御的な抗ウイルス応答を確立できることを示している。