変形性関節症：100万人退役軍人プログラムおよび英国バイオバンクにおいて複数祖先系の解析によって発見された変形性関節症に関連する新規遺伝的座位

変形性関節症はありふれた進行性関節疾患である。変形性関節症には有効な医学的介入方法が存在しないので、しばしば末期の病期にまで進行し、その場合は関節全置換術などの外科的選択肢しか利用できない。個別化標的治療手法を開発するためには、変形性関節症の遺伝的影響を徹底的に解明することが不可欠であり、その治療は、理想的には末期に至るずっと以前に行うものであるべきだ。複数祖先系の集団を対象にした変形性関節症の大規模な遺伝的研究はこれまで行われていない。この問題に取り組むために我々は、100万人の退役軍人プログラムおよび英国バイオバンクの参加者48万4374人の情報を解析に用いるという格好の機会を得た。解析には、ヨーロッパ系、アフリカ系、アジア系、ヒスパニック系の祖先をもつ参加者が含まれていた。10座位に変形性関節症に関連する遺伝的バリアントが見つかるとともに、これまでの変形性関節症の研究で得られた知見の再現性を確認した。さらに、一部の変形性関節症関連領域は、特定の祖先系集団に対して強く認められるという証拠が得られた。薬剤リポジショニング解析から、いくつかの種類の薬剤の標的がこれらの関連領域に豊富に見られることが明らかになり、また、変形性関節症の痛みに抗てんかん薬が有益な効果を示すであろう理由についての知見が得られた。