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神経膠腫:H3-K27M変異型びまん性正中神経膠腫における年齢と部位横断的な腫瘍細胞状態と空間的構造の全体像
Nature Genetics 54, 12 doi: 10.1038/s41588-022-01236-3
ヒストンH3の第27番残基のリシンからメチオニンへの変異(H3-K27M)は、小児脳橋のびまん性正中グリオーマ(神経膠腫)で最も頻繁に見られるが、成人でも認められるようになってきている。しかし、年齢や正中部位の違いによって存在し得る不均一性については、ほとんど研究されていない。今回我々は、H3-K27M DMG患者の包括的コホートにおいて、一細胞トランスクリプトーム、エピゲノムおよび空間構造を調べることで、共通のドライバー変異に照らして、年齢と解剖学的部位がグリオーマ細胞内因性とグリオーマ細胞外因性の特徴をどのように形成するのかを明らかにした。また、全ての臨床解剖学的区分横断的に存在する幹細胞様のオリゴデンドログリア前駆細胞様細胞が、部位依存的にさまざまな成熟レベルを示すことが分かった。我々は、以前は評価されていなかった間葉系がん細胞の状態と年齢との間の関係性を明らかにし、これは免疫微小環境内の年齢依存的な違いと結び付いていることを示す。我々はさらに、H3-K27M DMG細胞集団の空間的構造を解き明かし、細胞分裂するオリゴデンドログリア細胞系譜のニッチを明らかにした。まとめると、我々の研究は、合理的なモデル化と治療介入のための強力な枠組みを提供するものである。