Perspective
マイクロバイオーム:宿主の遺伝的背景が腸内マイクロバイオームに及ぼす影響:研究の課題と将来展望
Nature Genetics 54, 2 doi: 10.1038/s41588-021-00983-z
ヒトの腸マイクロバイオームは、宿主の代謝、免疫、健康に影響を及ぼす複雑な生態系である。腸内細菌の組成の個人差は主に環境要因によって生じるが、腸内細菌の中には遺伝的に受け継がれるものもあり、宿主の遺伝的背景による影響を受ける可能性がある。過去5年間に、参加者が1000人を超える微生物ゲノムワイド関連解析(mbGWAS)が12件報告されているが、複数の研究で共通して特定された関連座位はわずかしかない。本稿では、解析法が標準化されていないことや検出力の問題といった現在の課題に焦点を当てながら、mbGWASの最新の現状について議論し、マイクロバイオームの遺伝学的解析の今後の想定される方向性について詳しく述べる。