Perspective

染色体外DNAとがん治療:染色体外DNAのゲノム内および空間的な可動性と、がん治療に対するその意味合い

Nature Genetics 54, 2 doi: 10.1038/s41588-021-01000-z

染色体外DNA(ecDNA)の増幅は、少なくとも30のがんタイプで観察されており、患者の転帰の悪さと関連がある。がん遺伝子と関連エンハンサーはどちらもecDNAに含まれる可能性があるため、この現象はがん遺伝子量の増加と関連付けられている。しかし、新しいデータにより、ecDNAに影響を受けるのはがん遺伝子量のみであるという見方に疑問が投げ掛けられ、ecDNAがゲノム規模の遺伝子発現を破壊する可能性が提起された。最近の研究では、ecDNAは特殊化した核内構造体(ハブ)に局在し、他のecDNAや染色体上の遺伝子に対する異所的エンハンサーとしてトランスに作用する可能性があることが示唆されている。さらに、ecDNAは再びゲノムに組み込まれることがあり、腫瘍細胞における遺伝子調節の状況をさらに破壊する可能性がある。このPerspectiveでは、ecDNAの新たな特性について議論し、この新しい知見をecDNAに対するがん治療の開発に活用するための有望な道筋を示す。

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