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ノンコーディングRNA:長鎖ノンコーディングRNAの転写動態と分子機能

Nature Genetics 54, 3 doi: 10.1038/s41588-022-01014-1

実験的に機能が確認された長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)の数は増え続けているものの、それらの転写動態についてはほとんど分かっておらず、それらの調節効果を明らかにすることは難しい。今回我々は、対立遺伝子感受性(対立遺伝子特異的に発現を検知できる)単一細胞RNA塩基配列決定を行い、メッセンジャーRNAに比べて、lncRNAの転写バースト間の時間が2倍長いことを示す。また、lncRNA発現に関する細胞間でのばらつきの増加が見られ、これは多数のRNA分子を産生するバーストほど頻度が低いことに起因することが分かった。我々は、非同期的に増殖する細胞の不均一性を利用して、細胞周期の進行とアポトーシスに関連した細胞状態特異的機能を持つlncRNAを明らかにし、実験的な検証を行った。さらに我々は、シス機能性のlncRNAを特定し、これらのlncRNAのノックダウンが、タンパク質をコードする近傍の遺伝子の転写バーストの頻度やサイズを変化させることを示す。まとめると、我々の研究は、lncRNAの転写調節の特殊性を明らかにし、lncRNAがmRNAの転写バーストの調節に役割を担うことを実証するものである。

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