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転写制御/レトロウイルス:内在性レトロウイルスによる転写凝集体の乗っ取り
Nature Genetics 54, 8 doi: 10.1038/s41588-022-01132-w
哺乳類の内在性レトロウイルス(ERV)のほとんどにはレトロトランスポジションを行う能力がないため、ERVの抑制解除が初期発生中の致死性と関連する理由は不可解である。今回我々は、ヘテロクロマチンのアダプタータンパク質であるTRIM28を選択的に急速分解させると、スーパーエンハンサー(SE)に制御される多能性遺伝子コード座位から転写凝集体が解離し、マウス胚性幹細胞で転写されるERV座位に結合することを報告する。TRIM28が分解された細胞で、ERV RNAのノックダウンやSEに豊富な転写因子の強制発現を行うと、SEにおける凝集体の局在が回復した。また、生化学的な再構成系では、ERV RNAはRNAポリメラーゼIIとコアクチベーターであるメディエーターの相分離液滴への分配を促した。TRIM28をノックアウトしたマウス胚での一細胞RNA-seq解析からは、多能性細胞系譜が特異的に枯渇していることが明らかになった。従って、コーディングとノンコーディングの新生RNAは、レトロトランスポゾンから作られるRNAも含め、発生や疾患のさまざまな状況で転写凝集体の「乗っ取り」を促すことができると考えられる。