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耐暑性:パンゲノム解析によるトウジンビエの耐暑性に関連する構造変異の同定
Nature Genetics 55, 3 doi: 10.1038/s41588-023-01302-4
トウジンビエは世界中で栽培されている重要な穀物であり、優れた耐暑性を示す。今回我々は、世界の異なる気候に適応した10の染色体ゲノムと1つの既存のゲノムを用いて、グラフベースのパンゲノムを構築し、42万4085のゲノム構造変異(SV)を捉えることができた。比較ゲノムとトランスクリプトーム解析により、RWP-RK転写因子ファミリーの拡大の耐暑性への貢献、および小胞体(ER)関連遺伝子の耐暑性への関与が明らかになった。あるRWP-RK遺伝子の過剰発現が、植物の耐暑性の促進と小胞体関連遺伝子の素早い転写活性化を引き起こしており、耐暑性におけるRWP-RK転写因子と小胞体システムの重要な役割を支持している。加えて、我々はいくつかのゲノム構造変異が耐暑性に関連する遺伝子発現に影響しており、小胞体関連遺伝子周囲の構造変異がトウジンビエ集団の栽培化における耐暑性への適応に影響したことを見いだした。我々の研究が提供する包括的ゲノム資源は、耐暑性への知見を明らかにするとともに、変動する気候のもとでより堅牢な作物を作出するための基礎となるものである。