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子宮内膜症:子宮内膜症および他の疼痛や炎症性疾患を伴う併存疾患の遺伝的基盤
Nature Genetics 55, 3 doi: 10.1038/s41588-023-01323-z
子宮内膜症はありふれた疾患であり、消耗性の骨盤痛や不妊と関連している。ヨーロッパ系と東アジア系の6万674人の症例と70万1926人の対照例を含むゲノムワイド関連研究のメタ解析から、49の異なる関連シグナルからなるゲノムワイドで有意な42の座位が見つかった。効果量は、卵巣子宮内膜症によるステージ3ないし4の疾患で最大だった。見つかったシグナルは、疾患発症に関わる分散を最大で5.01%まで説明し、子宮内膜および血中での遺伝子の発現やメチル化の調節を行い、シグナルの多くは痛みの知覚や持続に関連していた(SRP14/BMF、GDAP1、MLLT10、BSNおよびNGF)。子宮内膜症と11の疼痛疾患〔片頭痛、背中や複数部位の慢性疼痛(MCP)など〕および炎症性疾患(喘息や変形性関節症)の間に有意な遺伝的相関が見られた。複数形質の遺伝的解析では、子宮内膜症とMCP/偏頭痛とで関連するバリアントがかなり共通していることが明らかになった。従って、新しい治療法の開発を支援し、症状への早期介入を促すためには、子宮内膜症と他の疼痛疾患の間で共通する遺伝的調節機構を標的とした研究が必要である。