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テロメア:チミジンヌクレオチドの代謝はヒトのテロメア長を制御する

Nature Genetics 55, 4 doi: 10.1038/s41588-023-01339-5

ヒトのテロメア長は寿命や重症疾患と関連しているが、テロメア長の遺伝的決定要因については完全には明らかにされていない。本研究では、CRISPR–Cas9を用いてゲノムワイドでのテロメア長の機能的スクリーニングを行い、チミジン(dT)ヌクレオチド代謝が、ヒトテロメア維持の制限要因であることを明らかにした。CRISPR–Cas9による標的遺伝子破壊では、チミジンヌクレオチド代謝経路全体で複数のテロメア長制御点が見つかった。すなわち、核のチミジンキナーゼ(TK1)をコードする遺伝子の欠損によるdTヌクレオチド再利用の低下、またはチミジンシンターゼ遺伝子(TYMS)のノックアウトによるde novo産生の低下は、テロメア長を短縮させ、逆にデオキシヌクレオシドトリホスホヒドロラーゼをコードする遺伝子SAMHD1の不活性化は、テロメアを伸長した。さらに、dTの単独補給は、細胞内でテロメラーゼによるテロメア伸長をロバストに促進し、また、チミジン三リン酸はin vitroで基質非依存的にテロメラーゼ活性を増強した。テロメアの遺伝学的性質に異常のある患者から作製した誘導多能性幹細胞では、dTの補給またはSAMHD1の阻害は、テロメアの回復を促進した。我々の結果は、チミジン代謝はヒトのテロメラーゼやテロメア長制御に極めて重要な役割を担っていることを明らかにし、これは致死的な変性疾患の患者における治療標的として利用できる可能性がある。

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