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転位性遺伝因子:がん横断的解析で明らかになった転位性遺伝因子由来の腫瘍特異的抗原
Nature Genetics 55, 4 doi: 10.1038/s41588-023-01349-3
転位性遺伝因子(TE)内の潜在的プロモーターは、腫瘍内で転写的に活性化されて、新たなTEキメラ転写産物を産生し、それが免疫原性抗原を作り出す可能性がある。今回我々は、33のTCGA腫瘍タイプ、30のGTEx成体組織、675のがん細胞株で、これらのTE外適応事象に対する包括的なスクリーニングを行い、共通する腫瘍特異的TEキメラ抗原(TS-TEA)を生み出す可能性のある1068の外適応候補TEを見いだした。全溶解物とHLAプルダウン法の質量分析データから、TS-TEAはがん細胞表面に存在することが確認できた。さらに、TEプロモーターから転写されて、がん細胞の細胞外表面の異常なエピトープを構成する腫瘍特異的膜タンパク質も明らかにした。まとめると、本研究によってがん横断的に見られるTS-TEAと異常な膜タンパク質が明らかになり、これらは治療利用や標的化の対象となり得る。