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転位性遺伝因子:RNA m6 AとDNAメチル化の間のクロストークはヒト多能性幹細胞におけるクロマチンでの転位性遺伝因子の活性化と細胞運命を調節する

Nature Genetics 55, 8 doi: 10.1038/s41588-023-01452-5

転位性遺伝因子(TE)は、ヒトゲノムの半分以上を占める寄生性DNA塩基配列である。TEの抑制状態および活性化状態を厳密に制御することは、ゲノムの完全性、発生、免疫、がんなどの疾患にとって重要である。しかし、この調節がどのように達成されるのかは正確には分かっていない。本論文では、ヒト胚性幹細胞(hESC)でTE関連タンパク質を捕捉するための方法である、標的化近接標識プロテオミクス手法を開発したので報告する。RNA N6-メチルアデノシン(m6A)のリーダー(読み取り因子)であるYTHDC2は、霊長類特異的TEであるLTR7/HERV-Hのゲノム座位を占有しており、これは特にm6A修飾を受けたHERV-H RNAとの相互作用を介して起こることが分かった。予想外なことに、YTHDC2はDNA 5-メチルシトシン(5mC)デメチラーゼであるTET1を誘導して、LTR7/HERV-Hから5mCを除去することで、エピジェネティックなサイレンシングを防いでいる。機能的には、YTHDC2/LTR7軸はhESCの神経分化を抑制する。我々の結果は、真核生物のRNAとDNAで最もよく見られる調節性修飾であるRNA m6 AとDNA 5mCの間に、これまで認識されていなかったクロストークがあることを見つけ、hESCではこの相互作用がTE活性と細胞運命を制御しているという2つの事実を明らかにした。

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