Article

アルツハイマー病:アルツハイマー病の脳における遺伝的バリアントの細胞サブタイプ特異的影響

Nature Genetics 56, 4 doi: 10.1038/s41588-024-01685-y

脳細胞のタイプやサブタイプにおける遺伝的バリアントと遺伝子発現との関係については、まだあまり明らかにされていない。今回我々は、高齢者424人の大脳新皮質から単一核RNA塩基配列決定データを生成し、150万のトランスクリプトームを用いて、7つの細胞タイプと64の細胞サブタイプに対して、遺伝的バリアントがシスのRNA発現に及ぼす影響(シス発現量的形質座位)の評価を行った。この解析により、細胞タイプレベルでは1万4のeGeneが、細胞サブタイプレベルでは8099のeGeneが見つかった。多くのeGeneは、細胞サブタイプレベルでのみで検出された。APOEε4による補正後も、ミクログリアでのみAPOEの発現に影響を及ぼし、脳アミロイドアンギオパチーと強く関連するが、アルツハイマー病病理には関連しない新たなバリアントが1つ見つかったことで、両方の病理についての機序に関する知見が得られた。さらに、細胞サブタイプの割合に影響を及ぼしたのは、TMEM106Bの1つのバリアントだけだった。これらの結果をゲノムワイド関連解析と統合することで、アルツハイマー病や統合失調症、学業成績、パーキンソン病の関連座位が標的とする細胞タイプと原因遺伝子候補が明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度