Scientific Data ロードショー講演ツアーを振り返って
原文: 15 April 2016Reflections from Scientific Data’s Japan Roadshow
2016年3月、Scientific Data は東京開催の第7回リサーチデータ・アライアンス(RDA)総会参加、そして横浜、三島、福岡、東京、京都、神戸、筑波におけるロードショー講演ツアー開催と、日本一色でした。
これまでもRDA総会は専門家の皆様と研究データの共有と出版について協力を進める良い機会でしたが、今回もその例外ではありませんでした。しかしRDAは徐々に分野に特化する研究者の参加を促すようになってきました。そのため東京総会は、各分野を牽引する研究者間で研究データマネジメント(RDM)にまつわる問題に関して、データシェアリングの最適な方法を話し合う素晴らしい機会となりました。
各国から参加している研究者が、データシェアリングに関して、スクープ(データを利用して出し抜くこと)、保有期間、プロモーションなどを中心に、似通った関心事を持っています。一方日本では、オープン化が日本政府による「オープンサイエンス課題」の積極的促進という形で、トップダウンで開始されました。日本政府総合科学技術・イノベーション会議が日本政府内閣府によるオープンサイエンス推進を展開し、公的研究資金による研究成果(論文、研究データ等)の利活用促進を拡大するオープンサイエンスを推奨、促進している1。幸運にも私は、内閣府オープンサイエンス検討会構成員の方々と、オープンサイエンスにおける国際的な類似点と相違点について話し合う機会を持つことができました。
日本政府による(公的に助成された研究へのオープンアクセス化と並行して)データシェアリング重視は、Scientific Data による研究データの共有と再利用の促進という中心的目的と相乗効果をもたらします。Scientific Data は上記検討会1の構成員からもデータの査読プロセスや機械可読なメタデータで注目され、報告書の中でも言及していただいています。
日本政府は現存の図書館員に加えて大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)職の確保と育成を支援しており、これが主要な研究機関における政府のオープンサイエンス課題の実施を促しています。図書館員やURAはしばしば博士号取得者であり、彼らは職務として研究成果の公開に関して研究者にアドバイスすることに加え、研究所におけるRDMシステムのデザインや実施などができるのではないでしょうか。日本の研究機関において構築されつつあるRDMシステムは、研究データの長期間の管理を促進するとともに、さらに重要な役割として、再利用という目的のもと出版された研究を調査、追跡するのに必要な仕組みを提供しようとしています。
日本政府主導で行われている、協力的かつ研究者中心のインフラ構築は、研究者のデータシェアリングに対する懸念を払しょくするのに大いに役立ち、また、日本が研究のオープン化から利を得ることにつながることでしょう。
Scientific Data ロードショーにおいて各イベントを企画、開催するサポートをしてくださった下記の方々に感謝いたします。
岩田修一さま、村山泰啓さま | Data Perspective beyond Alliances |
川路英哉さま | 理化学研究所 予防医学・ゲノミクス応用開発ユニット |
野水昭彦さま、広海健さま、岡本基さま | 国立遺伝学研究所、統計数理研究所、国立極地研究所 |
坊農秀雅さま、仲里猛留さま | ライフサイエンス統合データベースセンター |
水野谷航さま、澤野祥子さま | 九州大学 |
須賀井理香さま | 東京大学 |
梶田将司さま、天野絵里子さま、小林陽子さま | 京都大学 |
工樂樹洋さま、鴨川弥生さま | 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター |
谷藤幹子さま | 物質・材料研究機構 |
最後に、今回のScientific Data ロードショーで意欲的なスケジュールを組み遂行するサポートをしてくれたNPG日本オフィスのオープンリサーチマーケティングマネージャー新谷洋子に感謝します。
「国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会」報告書(2015)
- http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/150330_openscience_1.pdf
- http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/150330_openscience_2.pdf
- http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/150330_openscience_3.pdf
- http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/150330_openscience_4.pdf
- http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/150330_openscience_5.pdf