2014年12月号Volume 11 Number 12
科学界を去ったPhD
「将来のスター科学者」と目されていた優秀な大学院生が、博士号取得後に科学者にならずに別の道に進むことは少なくない。その原因の1つに、学術研究機関のポストに空きがないことが挙げられる。今回 Nature は、博士号取得後に学術研究を離れた3人を取材し、どんなきっかけでどういう道を見出したのか尋ね、そこから、研究を続けている人とそうでない人にどのような違いがあったかを探った。
Editorial
News
月最大の平原はクレーターではなかった
月探査機の重力測定結果によると、月の「嵐の大洋」は衝突クレーターではなく、地殻の収縮でできた谷で縁取られた平原とみられることが分かった。
安価で性能に優れた液体金属電池
液体金属電池技術の進歩でエネルギーの大量貯蔵が可能になり、風力や太陽光といった不安定なエネルギー資源を最大限に活用できるようになるかもしれない。
牛糞堆肥が抗生物質耐性菌を増加させる?
抗生物質を使わずに育てた乳牛の糞尿を肥料として使っても、土壌中の耐性菌の増殖を助けることになるという、意外な研究結果が報告された。
青色LEDの発明者にノーベル物理学賞
照明に革命を起こした青色LEDは、世界の電力消費量を低減させる発明と評価された。
空間認知に関わる脳細胞の発見に医学生理学賞
脳の「場所細胞」と「グリッド細胞」の発見は、位置情報把握の仕組みの研究に大きな影響を与えた。
化学賞は細胞内部を観察できる顕微鏡の開発に
光学顕微鏡の限界に挑んだ先駆者たちがノーベル化学賞を受賞した。
人工甘味料が肥満を引き起こす?
人工甘味料は腸内のマイクロバイオームを変化させ、肥満を引き起こし得ることが示唆された。
エウロパにプレートテクトニクス運動
近年、重大な発見が続いている木星の衛星「エウロパ」で、プレートテクトニクス運動が起きていることがこのほど明らかになった。エウロパ探査への機運がいちだんと高まっている。
宇宙に飛び出した3Dプリンター
NASAは、宇宙で部品や道具を製作できる3Dプリンターの開発に取り組んでいる。
ペロブスカイト太陽電池の効率、シリコン太陽電池に迫る
安価な材料で容易に作製できる「ペロブスカイト膜」を使った太陽電池に、業界の関心が集まっている。
News Feature
科学界を去ったPhD
将来のスター科学者と目されていた優秀な大学院生が、博士号取得後に科学者にならずに別の道に進むことは少なくない。彼らはどんな人生を歩んでいるのだろうか。
Japanese Author
脳の大きさを制御する、新たな分子メカニズムを解明!
ヒトの脳は約1.3〜1.5kgとされるが、容量がこれよりも病的に小さく、知的障害を伴う「小頭症」という疾患がある。神経変性疾患を研究対象にしてきた岡澤均・東京医科歯科大学教授らは、ニューロンの核における機能分子の探索と解析を続ける中でPQBP1という新規タンパク質を突き止め、その異常によりあるタイプの小頭症が引き起こされることを分子レベルで解明した。
News & Views
スタチンは骨の成長を促す
軟骨形成と骨成長の異常によって起こる低身長症について、iPS細胞モデルが構築された。研究チームはさらに、高コレステロール血症治療薬であるスタチンが軟骨形成と骨成長を促進する可能性があることをこのモデルを用いて明らかにした。
海王星サイズの太陽系外惑星に水を発見
海王星ほどの大きさの太陽系外惑星の大気にも水(水蒸気)が存在することを示す決定的証拠が、初めて得られた。さらに小さい、地球ほどの大きさで水が存在する惑星の探索への扉が開かれた。
News Scan
キーストーン病原体
keystone pathogen:その数の割には、無害な微生物叢を病気を引き起こし得るものに転換するのに非常に大きな役割を演じている微生物
おうちはどっち?
一部の渡り鳥は母親と父親から矛盾した指令を受け取っている