Research Highlights 化合物遺伝子相互作用データと遺伝子相互作用データの統合による生理活性物質と細胞内標的経路の関連づけ 2004年1月1日 Nature Biotechnology 22, 1 doi: 10.1038/nbt919 生理活性物質は、有用な研究手段にも薬物のリード化合物にもなる場合があるが、作用機構の究明および細胞内標的の同定が困難であることが多い。今回我々は、化合物遺伝子相互作用データと遺伝子相互作用データとを統合して、阻害物質の作用経路および標的に関する情報を得ることができるかどうかを調べた。酵母一倍体欠失変異体の既存の完全なセットを利用して、化合物12種類に関する薬物過敏性プロファイル(化合物遺伝子プロファイル)を得た。化合物遺伝子プロファイルからは、一連の化合物特異的相互作用のほか、多剤耐性に必要な遺伝子が多数同定された。特に、機能性の液胞H+-ATPアーゼを欠失する酵母変異体が示す多剤感受性は、哺乳類細胞で保存されている現象である可能性がある。多剤耐性遺伝子に関する化合物遺伝子プロファイルを選別し、この化合物特異的プロファイルに関して大規模な遺伝子相互作用プロファイルの集合を用いたクラスター分析を実施して、標的となる経路およびタンパク質を同定することができた。この方法は、作用機構を推測する強力な手段になると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る