Letter 一過的に共導入される選択遺伝子を用いたマーカーフリー色素体形質転換植物の作出 2004年2月1日 Nature Biotechnology 22, 2 doi: 10.1038/nbt933 典型的な高等植物色素体の遺伝子操作では、選択マーカーとして抗生物質抵抗性遺伝子が安定導入される。葉緑体遺伝子はほとんどの作物で母性遺伝するが、近縁野生種および微生物へのマーカー遺伝子伝播の可能性を完全には排除できない。さらに、マーカー遺伝子の発現は大きな代謝的負担である可能性がある。このため、色素体形質転換植物からマーカー遺伝子を完全に除去する効率的な方法が必要である。高等植物色素体から選択遺伝子を除去するひとつの方法はループアウト組換えに基づくものであるが、ホモ形質転換体の選抜が期待できないため制御が難しい。もうひとつはCRE/lox系を用いる方法であるが、CREリコンビナーゼを導入して再除去するための再形質転換および交配が必要となる。本論文では、白化変異体の色素蓄積の回復を利用し、カナマイシン選択マーカーが安定導入されないように設計した色素体形質転換ベクターを用いてマーカーフリー葉緑体形質転換タバコを作出する方法を紹介する。変異体を用いる方法の利点のひとつは、再形質転換および交配をせずに、形質転換当代(T0)でマーカーフリー色素体形質転換植物が作出可能となることである。 Full text PDF 目次へ戻る