Letter 抗体標的細胞融合 2004年3月1日 Nature Biotechnology 22, 3 doi: 10.1038/nbt942 バイオテクノロジー分野で膜融合の用途は多いと考えられる。本論文では、融合性ウイルス膜糖タンパク質複合体の作製によって抗体標的細胞融合が実現可能となることを示す。単鎖抗体3種類を麻疹赤血球凝集素(H)タンパク質の細胞外C末端に連結し、点変異の組み合わせを導入して、このタンパク質が天然型ウイルス受容体CD46およびSLAMを介して融合を引き起こす能力を欠失させた。標的を改めたHタンパク質を、プラスミド・コトランスフェクションまたはバイシストロン性アデノウイルスベクターを用いて麻疹融合(F)タンパク質と共発現させると、指標細胞に関して、受容体の有無によらず、受容体陽性標的細胞との抗体標的細胞融合が媒介された。ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)標的細胞融合を媒介するアデノウイルス発現ベクターは、EGFR陽性腫瘍細胞株に対する細胞毒性が強力であり、天然型(標的を定めていない)またはCD38標的Hタンパク質を発現する対照アデノウイルスと比較して、EGFR陽性腫瘍異種移植片に対する抗腫瘍効果が優れていた。 Full text PDF 目次へ戻る