Research Highlights

原形質膜結合性ホスホリパーゼD δ はArabidopsis thalianaの凍結耐性を強化する

Nature Biotechnology 22, 4 doi: 10.1038/nbt949

凍結傷害は植物の生産性および地理的分布を決定する主要な環境制限因子である。本研究では、膜脂質の加水分解および細胞シグナル伝達に関与するホスホリパーゼDδ (PLDδ) をコードする遺伝子の改変によってArabidopsis thalianaの凍結耐性が操作可能であることを示す。原形質膜結合性PLDδ遺伝子をノックアウトするとA. thaliana植物体は凍結に対して敏感になり、PLDδを過剰発現させると凍結耐性が向上した。脂質プロファイリングによって、凍結中に野生型植物体内で生成するホスファチジン酸の約20%にPLDδが寄与しており、PLDδの過剰発現でホスファチジン酸類の生成量が増大することがわかった。PLDδを改変しても、低温誘導性遺伝子C O R 4 7 およびCOR78の発現は影響を受けず、低温によるプロリン含量および可溶性糖類含量の増大も変化しなかった。このことは、PLD経路が凍結応答に固有の決定因子であり、PLD経路の改変で植物の凍結耐性が改良される可能性のあることを示唆している。

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