Research Highlights

成体毛包幹細胞の捕捉および解析

Nature Biotechnology 22, 4 doi: 10.1038/nbt950

毛包バルジには上皮幹細胞とみられる細胞が存在する。バルジ細胞は、これを標的とする遺伝学的手法がないため、解析が進展してこなかった。今回我々は、マウスバルジ細胞を標的とするため、Keratin1-15Krt1-15、K15とも呼ばれる)プロモーターを誘導型のCreリコンビナーゼ作製物または強化緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子(EGFP)と組み合わせ、細胞の系譜解析および単離を可能とした。成体マウスのバルジ細胞からは、毛周期が正常な無処理毛包および毛に存在する上皮細胞全種類が生成することがわかった。成体のKrt1-15-EGFP-陽性細胞は、単離後に皮膚上皮のあらゆる構成要素を再構築し、増殖能がKrt1-15-EGFP-陰性細胞と比較して高かった。毛包幹細胞の遺伝子プロファイリングでは、幹細胞表現型の維持に重要な受容体およびシグナル経路が、既知、未知あわせていくつか示された。究極的には、今回の知見は、脱毛のほか皮膚疾患および毛髪疾患の治療に関する潜在的な標的を示すものである。

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