Research Highlights

高度好熱菌Thermus thermophilusのゲノム配列

Nature Biotechnology 22, 5 doi: 10.1038/nbt956

Thermus thermophilus HB27は高度好熱性の耐塩細菌で、日本で天然の高温環境から分離されたのが起源である。この細菌はバイオテクノロジー分野で大きな可能性が見込まれており、Thermus属細菌から単離された熱安定タンパク質には研究用および工業用に不可欠となっているものが多い。本論文では、Thermus属細菌としては初めてT. thermophilus HB27の完全なゲノム配列を示す。このゲノムは、1,894,877塩基対の染色体および232,605塩基対のメガプラスミドpTT27からなる。遺伝子2,218個の存在が推定されることがわかり、配列が既知の細菌としては現在最も近縁の中温菌Deinococcus radioduransと遺伝子を比較した。両者のタンパク質は類似しているが、ゲノムのシンテニーは大きくなかった。T. thermophilus HB27からは、バイオテクノロジー分野への応用が考えられる新規遺伝子が多数見出された。有望視されるものとしては、種々のプロテアーゼのほか、DNA複製、DNA修復、およびRNA成熟など基本的な生物学的プロセスに関与する主要な酵素が挙げられる。

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