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「自己切断型」2Aペプチドを用いた単一のレトロウイルスベクターによるin vivoでの多重遺伝子欠損の修復

Nature Biotechnology 22, 5 doi: 10.1038/nbt957

複数の遺伝子を発現させる遺伝子治療および生物医学的研究に関して、信頼性のある多様なベクターを作製する試みは限られた成果しか得られていない。今回我々はピコルナウイルスの「自己切断型」2Aペプチドまたはほかのウイルス由来の2A様配列を使用し、シストロン4種類を効率的に翻訳するマルチシストロン性のレトロウイルスベクターを作製した。試験系としてT細胞受容体:CD3複合体を使用し、単一の2Aペプチド結合レトロウイルスベクターによってCD3タンパク質4種類(CD3ε, γ, δ, ζ)すべてが作製できること、およびCD3欠損マウスでT細胞の発生および機能が回復することを示す。また、血液、胸腺、脾臓、骨髄および初期幹細胞前駆体を含む複数細胞で、蛍光タンパク質2種類が2Aペプチドを介して完全に「切断」され化学量論的に生成することを、細胞蛍光共鳴エネルギー移動を利用した系を用いて示す。

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