Research Highlights 嫌気性硫酸還元細菌Desulfovibrio vulgarisのゲノム配列 2004年5月1日 Nature Biotechnology 22, 5 doi: 10.1038/nbt959 Desulfovibrio vulgaris Hildenboroughは、硫酸還元細菌(SRB)のエネルギー代謝研究のほか、金属製インフラの生物腐食および毒性金属イオンの生物的浄化などSRBがもたらす経済的影響の理解に有用なモデル生物である。3,570,858塩基対からなるゲノム配列には、この細菌のエネルギー代謝に重要な特徴として、複数の周辺質ヒドロゲナーゼとギ酸デヒドロゲナーゼを結びつける新規c型シトクロームのネットワークが存在することが明らかにされた。エネルギー変換に関与する酵素をコードする遺伝子群の相対的配置は、当該酵素に関して推定される細胞内での所在とともに、この細菌のエネルギー効率を向上させる「水素循環」モデルへの展開を提唱するための基礎となる。プラスミドにコードされた機能には、細胞表面構成要素の修飾、窒素固定およびIII型タンパク質分泌機構などがある。このゲノム配列は、ウランおよびクロムをはじめとする汚染物質の還元(および生物的浄化)経路を解明するための大きな一歩であり、この細菌の複雑な嫌気呼吸系を解明するための新たな出発点となる。 Full text PDF 目次へ戻る