Research Highlights 大動脈縮窄ゼブラフィッシュモデルの遺伝子変異の化学的抑制 2004年5月1日 Nature Biotechnology 22, 5 doi: 10.1038/nbt963 従来の薬物探索法では事前に適切な標的分子を選別する必要があるが、どの生物学的経路を標的とすれば疾患の表現型が回復されるかが明確でない場合が多い。表現型に基づくスクリーニングによって、疾患の進行に影響を及ぼす経路を特定し、治療法を得ることができる可能性がある。ゼブラフィッシュのgridlock(grl 、hey2遺伝子遺伝子に作用)変異は大動脈のある領域の血流を阻害するものであり、その生理的様態はヒトの大動脈縮窄と類似している。今回我々は生物体そのものを利用して表現型に基づく低分子スクリーニングを行い、縮窄の表現型を抑制し成体になるまでの生存を可能とする化合物群を発見した。いずれの化合物も血管芽細胞の分化および移動期間に作用する。その作用は血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を増加させるものであり、VEGF経路の活性化によってgridlock表現型が十分に抑制される。このように、生物体に基づくスクリーニングでは、複雑な異形性症候群を回復させる低分子の発見が可能となり、影響を受ける遺伝子の直接的なターゲティングも不要である。 Full text PDF 目次へ戻る