Article 抗酸化物質クロロゲン酸含量の高い遺伝子組換え植物 2004年6月1日 Nature Biotechnology 22, 6 doi: 10.1038/nbt966 食品の多くを単なる食物としてではなく医薬品、いわゆる機能性食品と考える傾向が強まっている。フェノール類は最も一般的な食餌性抗酸化物質であり、このうちクロロゲン酸(CGA)はある種の作物に高レベルで蓄積される。CGAは植物体内で抗酸化剤として機能し、動物が摂取すると変性加齢疾患が予防される。CGA合成酵素、ヒドロキシシンナモイルCoAキナ酸:ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼ(HQT)をコードするcDNAクローンをトマトおよびタバコから単離して解析した。HQT遺伝子の発現が抑制された植物の解析から、ナス科植物ではHQTがCGA蓄積の主要ルートであることが示された。トマトでHQTを過剰発現させると、ほかの水溶性フェノール類含量に副次的効果を及ぼすことなくCGA蓄積量が増大し、細菌性病原体感染に対する抵抗性および抗酸化能が向上した。CGA含量の増大したトマトは、ヒトの健康に特定の効能をもつ食品への利用が考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る