Article 時限経心灌流による架橋結合を用いた複合組織内タンパク質相互作用の研究 2004年6月1日 Nature Biotechnology 22, 6 doi: 10.1038/nbt969 膜タンパク質群は、可溶化に用いる界面活性剤に感受性をもつため研究が困難である。本論文では、組織の統合性が崩壊する前に、時限経心灌流による架橋結合(tcTPC)でタンパク質相互作用を共有結合的に保存する方法を示す。タンパク質間相互作用の同定に関するtcTPCの有効性を裏づけるため、tcTPCが高塩濃度および界面活性剤存在下でγ-セクレターゼ複合体の厳密なイムノアフィニティ精製を可能とし、架橋結合したaph-1、プレセニリン1およびニカストリンの質量分析による同定と両立可能であることを確認した。その上で、tcTPCによって正常プリオンタンパク質(PrPC)の近傍に存在するタンパク質が20種類以上同定され、PrPが、同じくグリコシルホスファチジルイノシトール・アンカーを膜接着に用いる分子群とともに、特定の膜領域に組み込まれていることが示唆された。このタンパク質は多くが神経突起の伸長または細胞接着に関与しており、免疫グロブリンC2およびフィブロネクチンIII型に似たモチーフが含まれていた。 Full text PDF 目次へ戻る