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抗真菌性ペプチドと融合させたFusarium特異的抗体は植物を真菌性病原体から保護する

Nature Biotechnology 22, 6 doi: 10.1038/nbt970

作物の感染防御の戦略として、病原体特異的抗原を認識する組換え型抗体をin plantaで発現させる方法が提唱されている。本論文では、抗真菌性ペプチド(AFP)3種類のいずれかと融合させたFusaium特異的組換え型抗体の発現によって、植物を真菌性疾病から防御する方法を示す。免疫適格性をもつプールしたファージディスプレイライブラリから、Fusariumの細胞表面に提示された抗原に特異的なニワトリ由来の単鎖抗体を見出した。この組換え型抗体は、3種類いずれのAFPと融合させてもin vitroで真菌の生育を阻害した。この融合タンパク質を発現する形質転換Arabidopsis thalianaFusarium oxysporum f.sp. matthiolaeに対して高い抵抗性を示したが、Fusaium特異的抗体またはAFPを単独で発現する植物体が示す抵抗性は中等度にとどまった。この結果は、抗体融合タンパク質が真菌感染症から作物を防御するための効果的で用途の広い方法として利用される可能性を示すものである。

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