Letter 定方向進化によるDNAポリメラーゼの基質スペクトルの包括的な拡張 2004年6月1日 Nature Biotechnology 22, 6 doi: 10.1038/nbt974 DNAポリメラーゼが基質を認識するときの特異性はきわめて高く、非天然型ヌクレオチドの利用およびそれにより可能となる用途には制約がある。本論文に示すのは、ポリメラーゼの基質範囲を拡張する研究である。歪んだ3' 末端ミスマッチを伸長するものを選択することによって、Taq DNAポリメラーゼの変異体が得られた。ここで得た変異体は、無差別にミスマッチを伸長するのみならず、触媒効率、DNA鎖伸長能および忠実度の高さを維持しながら、種々の変則的基質を複製する包括的な能力を獲得していた。変異体は天然型酵素と異なり、脱塩基部位、チミジンダイマー、または塩基アナログである5-ニトロインドールなどDNA複製を遮断する損傷部位を乗り越え、ヌクレオチド3リン酸4種類すべてをホスホロチオエートと完全に置換したPCR増幅、またはヌクレオチド3リン酸のひとつを蛍光標識ヌクレオチド3リン酸に置換したPCR増幅が進行した。最大20倍明るい蛍光を発するマイクロアレイプローブの作製で我々が示すように、このような「特異性の低い」ポリメラーゼは直ちに有用性を発揮するものである。 Full text PDF 目次へ戻る