Review

遺伝子水平伝播のモニタリングおよびモデリング

Nature Biotechnology 22, 9 doi: 10.1038/nbt1006

遺伝子組換え植物から土壌および腸内環境の微生物叢への遺伝子水平伝播(HGT)はこれまでの研究では見出されておらず、そのことがバイオセーフティの文献および行政のリスク評価に引用されることは多い。測定感度を検討したところ、これまでの研究では、組み合わせても2 gに満たない試料でのHGT事象しか分析されていないことがわかった。また、組換え遺伝子を獲得する細菌が現れるのはまれであり、それが野生株に打ち勝つには何年にもわたる増殖が必要であることが集団遺伝学的モデルから推測される。このため、有意義なモニタリングを行うには試料採取時期がきわめて重要である。本稿では、大細菌集団へのHGTのモニタリングに必要な試料の量および採取時期を明らかにするための集団遺伝学的方法を提言する。遺伝子組換え植物に曝露された細菌集団の大きさ、細菌の世代時間、組換え遺伝子を保持する細菌の選択圧の強さ、およびHGT仮説の正誤判定に必要な試料量を明確化することを含めて、現在のモニタリング方法には大幅な変更が必要である。

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